短歌読みます、うたあつめ。

拝見した短歌への、返歌や感想を書く、公開ファンレターです。

RE また夏にいじめられたの? クロックス焼けのどこかに起爆スイッチ

 

また夏にいじめられたの? クロックス焼けのどこかに起爆スイッチ

クロックスに裸足になれない身体にされたことがあります。ほんとに、水玉に焼けるんですよね。大丈夫か、僕の足、みたいな夏もありました。あの水玉模様を、ボタンに見立てたのですね。かつ、焼けすぎてヒリヒリしてるとしたら、「痛いから触らないで」という意味も、「起爆スイッチ」という言葉に読める気がして、とても好きです。

夏がいじわるなのでしょうか。クロックスがいじわるなのでしょうか。

「また夏にいじめられたの?」という言葉があるから、ユーモラスな表現に柔らかさも出て、素敵ですね。

 

胃カメラで充分痛いこの鼻を次はスイカが通るんですか

昨年、はじめて胃カメラ飲みました。鼻からです。麻酔かけて、横向きに寝て、「よだれは全部タオルに出して下さい」とか言われました。うん、そんな日本語生まれて初めて聞いたぞ。

私は男性だからかもしれないけど、そんなに痛くはなくて、異物が入る変な感じだなあくらいで、リアルタイムで「ここが胃のどこそこ」とか説明して下さるモニタを見てました。

でも、無理、スイカは無理、スイカダメ絶対。

(おそらく鼻をスイカが通るという比喩・イメージは、「痛みの表現」として別のことを指すかもしれないけれど、いくら短歌のファンとはいえ、書いてよい関係性では無いと思うから、頷くだけにしておきますね)

 

ああきみが眼鏡を掛けて来た日には私はほかになにも見えない

学校でも職場でも、こういうのあるあるですよね。朝、時間なくてメガネにしたとか、あるいは気合の入ったオシャレされてるとか、日常でありますよね。

ドキッとするのは、口紅かもしれない、ネクタイかもしれない、新しい華奢な腕時計かもしれない、何が引き金になるか分からないけれど、「眼鏡」という分かりやすいアイテムを用いられて「なにも見えない」とされた点も、好きです。

 

アナウンサーみたいな君が不意に言う「うん」が僕だけ春にしていく

この作品も、「いつもと違う表情」とか「落差」という点では、一つ前の短歌と共通するかもしれませんね。鑑賞させて頂いて、「わかる」って思いますし、「アナウンサーみたいな君」から膨らむイメージは言葉遣いだけでなく服装等全体的なイメージも含むように、私には思えました。かつ、「僕だけ春にしていく」という表現も、独特の胸の温かさを捕まえられていて、とても好きです。

これは「君と僕」の作品ですけど、アナウンサーみたいな男性が、普段敬語ばかりなのに、つい、うっかり「うん」と言ってしまったことでドキッとした女性の視点に置き換えても、成り立ちますよね。多面的な読み方が出来て、素敵だと思います。

 

仏様は暇じゃないぞと仏様が見ていますよの貼り紙に言う

曰さんワールドだと思いました。題材というのでしょうか着想というのでしょうか、これは作者の視点の段階で、すでに魅力的だと思います。「仏様が見ていますよ」でも「マリア様が見ていますよ」でも「世界人類がなんとか」でもいいのですが、「あ、はい」と通り過ぎてしまわずに、立ち止まってツッコミ入れていますよね。

ユーモアがあって、どこかロックな感じがして好きです。

 

返歌

「また冬がいじめてくるの?」「大丈夫、おこただすから、寝てていいから」

水玉の日焼けの跡をいじられて居心地悪いクロックスです

 

胃カメラで感覚の無いこの喉でヒップホップを歌うのですか

 

仏様忙しすぎる倒れてるお地蔵様を見守っている