短歌読みます、うたあつめ。

拝見した短歌への、返歌や感想を書く、公開ファンレターです。

RE 春となりやや暖かい雨を連れ 滲む夜道の照明を踏む

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この切り取り方、いいなあ。

みなさんは、街灯の光って何色に見えますか。明らかにオレンジの光もありますし、白もあります、中には緑がかった光もありませんか。私は夜道の照明というと、そんな光をイメージします。

 

「やや暖かい雨を連れ」と「滲む夜道」と「照明を踏む」の組み合わせが素敵ですね。

冬より雨もあったかくなったね、というだけのことですけど「雨を連れ」とすることで、イメージの幅が広がります。

僕らは「影を踏む」ことはありますが、照明を踏むことは通常ないですよね。めっちゃバネがあって、照明まで足が届くとしても、それは蹴りですし。踏んでない。

水たまりが水鏡になるだけでなく、街全体が「滲む」ような気候の時って、光の広がり方もいつもと違いますよね。

こんな風に、イメージを刺激される、美しい一首だと感じました。

 

返歌

春と冬一雨ごとに引き継ぎし春へと染まる街照らす白

 

冬去らず悲しい雨を引き連れてかじかむ指でポッカコーヒー

 

春となりやや暖かい雨の中泳いで帰る君の元へと