短歌読みます、うたあつめ。

拝見した短歌への、返歌や感想を書く、公開ファンレターです。

RE 一番に雨に気付いたカエルですたぶん一番さみしい蛙

「名刺代わりの自選3首」は、とてもありがたいハッシュタグです。「短歌」とか「tanka」で、短歌を詠む方を探すのですけど、そもそもこのハッシュタグで追いかけた方が、読みたい作品を生み出して下さる方にたどり着きやすいですから。

 

「長電話しつつ描いていた薔薇がいつしかブラックホールに変わる」

この作品は、あるあると思って読みました。メモを取りながら真剣に聴く電話ではなく、おそらく友達との雑談とか、家族や恋人など親しい相手との雑談で、かつ、切ると角が立つけど少し退屈な時間では無いかと、私は受け取りました。

相づちを適度に入れつつ、バラを描く、そのうち、もっと色々描いていき、鉛筆なのかボールペンなのか分からないですけど、最後は黒い何かになってしまう。

ぐしゃぐしゃの何かを、ブラックホールと表現されたこと、そして「薔薇」との対比が素敵だと感じました。

 

「一番に雨に気付いたカエルですたぶん一番さみしい蛙」

この作品は、さみしさを知った人、さみしさと共に生きるすべを知っている人の眼差しかなと感じました。カエル自体が淋しいという概念を持っているのか分からないですけど、寂しそうに感じる・そう見えることはありますよね。

「一番に雨に気付いたカエル」なら、「雨、待ってたぜ」と喜んでいるかもしれない。でも、そうではなくて、そこに寂しさがあって、だからこそ気づけた「雨」があるよという作品の世界が、優しくて、私はとても惹かれました。

 

「いないいないばあする前に笑ってる心が先に届いてしまう」

これは、子育てされている方・された方には、もしかしたら「あるある」な作品なのではないでしょうか。幼い子の吸収力や、観察力、集中力、周囲の大人の様子や変化や感情の動き等、私たちが忘れて失った鋭さや生命力があるからこその、以心伝心ですよね。上の句で状況を読み、下の句でそれは、作者にとってどんなことなのかが歌われています。「心が先に届いてしまう」という表現が素敵ですし、何より、実際にお子さんとそういう関係性を持てていることは素晴らしいことですね。

 

返歌

長電話「ほんとそうだね、そう思う」切るに切れないあなたのループ

 

一番に雨に気付いたカエルなのもう帰るとか言わないで 雲

 

サプライズ準備万端迎え入れ心が先に届いちゃうとは