短歌読みます、うたあつめ。

拝見した短歌への、返歌や感想を書く、公開ファンレターです。

RE 朝はすぐきてしまうから生ごみの水切りぐらいしっかりと泣く

 

「泣く」というコマンドが欠落して久しいです。目にゴミが入っても赤くなるくらいで、なかなか泣くってないです。男性文化の抑圧って意味なら、もっと上の世代のはずだから、個性でしょう。かつて泣いていた少年が、泣くことから距離を置いたわけですね。

 

だからこそ、泣くって大事。泣ける時に、しっかり泣いておくの大事。それは大人になってもそうだし、幼い時に気が済むまで、声がかれるまで泣かせて貰えることって豊かなことだと私は思います。虐待とか暴力って意味ではなくて。

 

シンプルに、感情はすごく大事。かつ、身体感覚も大事ですよね。「悲しい」とか「泣きたい」は心だけど、「泣く」は肉体ないと出来ないことだから。僕らは、心とか思いとか理性とか肉体とかがバラバラ存在するわけじゃない。頭でっかちで、ちぐはぐになりがちなんだけど。

 

  • 泣かざるを得ない状況でもリミットは容赦なくやってくること
  • 生ごみの水切りぐらい」という比喩の重奏性(複数の文脈で受け取れる)

 

この作品、とても好きです。そもそも、体の水分を絞りきるくらい泣く夜明けは切ないけど、それだけ泣いて切り替えられることは主体の武器ですね。本当に危ないと、泣く気力や抵抗力も失われると思うから、これだけ泣けるって、生命力でもある。

 

理不尽なことだらけだから泣きたい日もあるし、誰も泣かずに済む世界ならいいんだけど、人が集まればそうもいかない。だったら、しっかり泣く武器を持つって、安心して見ていられるなあと思わされました。