短歌読みます、うたあつめ。

拝見した短歌への、返歌や感想を書く、公開ファンレターです。

RE 夕暮れにギターを背負う影長くまだやれるって信じてた頃

 

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筆を置くといいますが、楽器を愛した方たちが、自分の限界と直面するときも、楽器を置くのでしょうね。「趣味」として付き合うとか「特技」と呼べるようになりたくて、戦ったわけじゃないですよね。

 

山を登るのと同じで、登るほど難易度が上がるように思います。肩に食い込む「楽器」の重さを意識せずにガンガン登れる方もいれば、「楽器」の重さを理解してひたすら地道にゆっくり登っていく方もいるでしょう。

この作品の場合、とても興味深いのが影の扱いです。「信じてた頃」を客観視していますよね。信じてた頃の主体は、もしかしたら疲れ知らずだったかもしれないし、背負ったギターも重くなかったかもしれないし、自分の影が長く伸びていることも目に入らなかったかもしれないですね。

 

熱中できるなにかに打ち込むという「魔法の時間」が解けると、何かしらのスキルや手応えと、苦味が残るかもしれませんが、この作品は「節目」とか「瞬間」を切り取られていて、何が残ったかは読者に委ねられているのも、スマートだと感じました。