RE 台風のかすめる沖にほどかれた 風は私を砂へ届ける
台風。気圧湿度寒暖の差、交通網の混乱等、鬱陶しい印象を抱いてしまいます。
でも、視点を変えれば、待ちに待った台風という方もいるわけですよね。
まず、着想の出発点が自由だと思いました。
そして風が砂を私に届けるなら、「風つよいよねー」で済むのですが、「風は私を砂へ届ける」だと、まるで主体がさらさらと少しずつ砂になって消えていくような不思議なイメージが浮かびます。主体が風に運ばれるような、あるいは主体の中を風が通っていくような。
考えてみればぼんさんという個性は不思議な方で、同じ肉体を持っていますが、彼の高い知性と鋭敏な感受性を考えれば、彼の中を風が吹くことも、あるいは彼の中に風が吹いていることも、あって不思議がないなと思わされるのです。
返歌
台風のかすめる沖にほどかれた ちょうちょむすびの行き着いた先
台風のかすめる沖にほどかれた 風で乱れた髪を見ている
台風が沖にとどまり動かない 気圧の谷のもたらす憂鬱