短歌読みます、うたあつめ。

拝見した短歌への、返歌や感想を書く、公開ファンレターです。

RE 「用件をどうぞ」と亡き人の声に さよなら1件 ありがとう2件

大切な方を失った時に、声が聴きたかったり、夢でもいいから会えないかと願ったりすることは、とても自然なことですよね。理屈ではもう居ないと分かっていても、気持が・感情で納得できない。そういう葛藤、無いでしょうか。

 

寂しいなあ、居てくれたらいいのにな。気持ちの波が、このくらいに落ち着くまでに、たくさん時間がかかることと思います。

 

写真の無い時代もありました。今は、写真・動画・文字情報、それにこの作品に出てきたように「留守電の声」など、様々な情報が残ることがありますよね。

 

「亡き人」との関係性により、留守電の内容を確認できる方(ご遺族等、距離の近い方たち)が留守電を確認して、「亡き人」へ吹き込まれたメッセージを確認したと解釈することも出来ますよね。

 

そうではなくて、「亡き人」の番号がまだ通じるかなとかけてみて、留守電になったから、届かないことは承知で、それでも「さよなら」と「ありがとう」を吹き込んだ、という解釈も出来るかもしれません。

 

2つの見方の他に、そもそも、留守電がまだ機能している(でもそれはきっと、じきに使えなくなってしまう)ことだけ知られて、吹き込むとしたら、どんなことを話そうかと、考えられた状態かもしれないですよね。

 

お別れを伝える他に、お別れの倍(あるい1つ多く)、ありがとうを伝えるよって作品かなと私は受け止めました。この作品は、大切な人を失った時に、一言、あるいは数件伝えられるとしたら、何にしますか? という問いでもありますよね。

私は、感謝とねぎらいにしたいです。

 

返歌

「用件をどうぞ」と話す彼の声 よそ行きの声 何も言えない

 

亡き人に思いの丈を届けたよ 「照れくさいだろ、言うな、そんなの」

 

亡き人の遺品整理を手伝った 何も触れずに時を止めたい