短歌読みます、うたあつめ。

拝見した短歌への、返歌や感想を書く、公開ファンレターです。

RE この星もいつか滅んでしまうから今日は恋とかしてみましょうか

「いつか滅ぶ」ことは、「100%、いつか死ぬ(命に終りがある)」ことと同じで、「いつか」は分からないけど「いつか」は必ずやってきますね。

でも、そのことと、今日、恋することは関係ないはずです。理屈では。全員同じ条件で、暮らしているわけですから。

しかし、いつか滅ぶわけだし、もう付き合ってみようか、という気持の勢いの付け方は理解できます。関係性にもよりますが、「いや、そこまで壮大な話を持ち出さなくても、普通に好きって言ってよ」ってツッコミ入れられるかもしれませんね。

この星がいつか滅ぶことと、主体が恋を提案する相手(大切な人)が、もしかしたら等価なのかなと思いました。天秤の両方に乗せて、バランスが取れるイメージ。

だとすると、軽やかな足取りの作品ですけど、とても情熱的な歌にも見えませんか?

 

お葬式等では、嗚咽漏らす方もいるでしょう。「泣きそうな声でさよなら交わす」ってどんな状況でしょうか。卒業式でしょうか。あるいは誰かを送り出す、別離でしょうか。興味深いのは、主体は「皆さま」の外で、「そうやって閉ざされていく」と観察されている点です。一人だけ感情の渦に巻き込まれず、冷静です。

主体の感情を出さず、ただ観察している様子を描いている。ここに惹かれました。

 

どこに風穴があいたのでしょうか。

何が・誰が消えていけると信じたのでしょうか。

作品から分かることは、「信じ続けて」いたから、風穴があいたことだけですよね。

閉塞的な状況に風穴があくのなら、それは風通しが良くなることですよね。

希望とか恋が諦めるしかなくて、それは諦めれば穏やかに消えていけると信じて、風穴に繋がるのなら、何らかのダメージにも思えます。

何かは起きている。きっと、主体にとって人生を左右するような出来事が。でも、それは何かは分からない。だから、この作品に、私たちは様々な「自分」を見ることが出来るのではないでしょうか。ミステリアスで、好きです。

 

返歌

この星はいつか滅んでしまいます消えていくのは心地いいかな

 

泣きそうな声で別れを告げている これは私の声なのですか

 

風穴をあけちゃいました障子にね エイってやるの そこで見ててね