短歌読みます、うたあつめ。

拝見した短歌への、返歌や感想を書く、公開ファンレターです。

RE 悲しみを遠ざけながら生きるとき 幸せになどなれないと知る

価値観・人生観に関係することですが、僕はこの作品に強く共感を抱きました。

「悲しみ」をスパッと自分から切り離せたら、私たちは幸福になれるのでしょうか。まず切り離すこと自体が出来ないですが、仮に悲しみを抱かない・抱けない人間になれたとして、その状態は私の求める幸福ではありません。

そうではなくて、もちろん、具体的に解決可能な悲しみは、対処しますが、どうにもならない悲しみがあるのなら、僕は共に生きる方法を知ること、悲しみと共に生きようと出来ること自体が幸福だと考えています。

ですから、この作品にとても惹かれました。

 

眠れない辛さ、心細さ、無力感、取り残された感じ、それらを私は読み取りますが、それらが吹き飛ぶくらい、イメージが美しいと感じました。大きな湖みたいな場所なのか、海を漂流しているのか、それとも「眠れない夜の真ん中」だから、舟もオールもイメージ上のものなのかは断定できませんが、これ、美しくありませんか?

 

暗闇なのか、星明りくらいはあるのか、遠くに街の明かりは見えるのか、イメージによりますよね。でも、舟にただひとり、乗っていて、オールがない(コントロールきかない)状態にいる。私は、オフィーリアを連想しました。

 

それはとても心細くて、身を任せるしか無い状況なのですが、とても静かで、息を殺せば寂しさの気配さえ物理的に聞こえそうなほど、耳が痛いくらいの静寂なのではないでしょうか。

 

返歌

悲しみをためしに部屋に招いたよ繊細だけどいいヤツだった

 

悲しみと共に生きると誓ったら ひとの悲しみ可視化されたよ

 

寝苦しい夜の真ん中居づらくて夜通し歩き朝を探した