短歌読みます、うたあつめ。

拝見した短歌への、返歌や感想を書く、公開ファンレターです。

RE 理想郷なんて都合のいいものはなくて寝るためだけのアパート

学業や仕事が忙しいと、「寝るためだけのアパート」になりますよね。

この作品は、「理想郷なんて都合のいいものは」とされたことで、日常の上にふわっと非日常が被さったように感じます。

 

たとえば、学生時代は夢や希望があって、社会人になったらこんな風に暮らしたい、こんなことをしてみたい、でも、実際、夢への第一歩を踏み出したら、仕事や生活がのしかかってくる。

 

でも、そこで折れてしまわずに、寝るためだけのアパートかもしれないし、仕事を覚えたり役割を果たすことに集中したり、あるいは食べていくためだと割り切るなど、眼の前の現実から逃げずに、絶望もせずに、少し自分を突き放して「苦さ」を抱えて歩き続けている。僕には、そんな歌に感じられました。

 

少し苦くて、でも絶望してはいない。そんな絶妙なさじ加減が、とてもリアルで、好きです。

 

返歌

理想郷お幾らですかチケットは完売ですか入荷しますか

 

寝るだけのアパートだから職場にはやたらと近い銭湯の上

 

「あの子はね夜勤があるの残業も寝ている時は静かにしてね」