短歌読みます、うたあつめ。

拝見した短歌への、返歌や感想を書く、公開ファンレターです。

RE 手も脚も翅にならずに朝毎のヒトが人たるメタモルフォーゼ

 胡蝶の夢! そんなイメージを持たれて、そう鑑賞された方がいるのですね。

「ヒトが人たるメタモルフォーゼ」は、「それにつけても金の欲しさよ」みたいに、汎用性が高い下の句な気がします。

「瓜食めば子ども思ほゆ栗食めばヒトが人たるメタモルフォーゼ」とか、試しに山上憶良の上の句を借りてみましたが、一気にSFの香りがすると思うのは私だけでしょうか。

まず、この下の句の安定感がとても好きです。

 

次に、「ならずに」の部分ですね。僕らは通常、手も足も翅にはなりません。ならないから、芸術が生まれたり、何かを発明したりするのではないでしょうか。そんな日常を、さらっと4文字でひっくり返されるのが、とても素敵です。

まるで「変だよね、今日もならなかったね」と、話すのが普通の世界を見るようです。毎日、私が私で有り続けること。その不思議さを、SF的な視点で見せてくれますね。

メタモルフォーゼしたのは、作品を鑑賞した私なのかもしれません。

 

返歌

手も脚も翅にならずに今日もまた私はわたしあなたではなく

 

ひとがたのメタモルフォーゼやってます日曜の朝テレビの前で

 

カフカなら手足も翅も奪い去り変化していく家族を描く