短歌読みます、うたあつめ。

拝見した短歌への、返歌や感想を書く、公開ファンレターです。

RE 消えていく人と向き合うコミュ力よ身長だけが成長していく

 

「友人ら二人のラリーに魅入られて机の上で命を燃やせ」

最初、例えば3Fとか4Fあたりにある教室から、テニス部を見てるのかなと思いました。机にひっぱられて、教室をイメージしてしまいました。

でも、卓球ですよね、これ。おそらく部活で、「命を燃やせ」というくらい応援してるのでしょう。高校を出て何年も経ちますから、なんだか眩しいですし、私自身の高校時代の想い出も呼び起こされました。スマホでインスタに上げるまでもなく、短歌でこうして切り取ってしまえる、素晴らしいと思います。

 

「いざゆかん三年間の集大成信濃のくににて輝く我ら」

生命力が高いというか、体温の高さを感じるというか、勢いに魅力を感じました。三年間の集大成だから、何かの大会を控えているのでしょうか。「いざゆかん」だから、これから出発するわけですけど、すでに「輝く」わけで、めっちゃ気合い入っていますよね。そんなところに魅力を感じました。

 

「消えていく人と向き合うコミュ力よ身長だけが成長していく」

「身体だけが成長してく」という表現は、体つきが日々変化していく時期の、身体に心がフィットしない状況を思い出させてくれます。

そこに、高校時代の「もう大人だ」という気持ちと「もうすぐ大人だ」という気持ちが入り交じることの戸惑いを私は感じ、そこに「消えていく人と向き合うコミュ力よ」という繊細さが重なって、この時期にしか歌えないリアルさを感じました。

とても素敵だと思います。

 

返歌

道着脱ぎジャージをはおりバスケ部へ疲れ知らずのバネが駆けてく

 

送り出す信濃の国は知っているこの三年の汗も笑いも

 

春を待つサナギになったコミュ力よ桜の知らせ掴み待ってる